「でも、俺と理玖さんをspouseにしたい理由って、何なんでしょう。本人たち以外に得する人なんか、いるのかな」
晴翔の純粋な疑問には、思い当たる節がある。
「恐らく犯人は、rulerとotherをspouseにしたいんだろうと思う」
晴翔が難しい顔を向ける。
「rulerはspouseを得ても、その他大勢のotherに対してフェロモンの影響力を維持する。ただし、その性質は変化して、結果的に世間がいう|奴隷《servant》契約がonly以上に容易になってしまう」
spouseを得ればonlyもotherも互いのフェロモンしか感じなくなる。
今の晴翔は理玖のフェロモンしか感知しない。理玖も晴翔のフェロモンしか感じない。
だが、rulerである理玖のフェロモンは、その他大勢のotherに影響してしまう。
故に、他のotherから自分の身を守るため、SAフェロモンの催眠効果が高まりotherをtripさせる率が上がる。結果、servant契約がしやすくなる。
(使い方の問題だ。本来はservantを作るためのシステムじゃない。身を守るシステムだ。だけど、できてしまう。できてしまうなら、使いたい奴はいる)
「じゃぁ、犯人の狙いは、rulerである理玖さんを利用すること……?」
「可能性は高いね。どう利用するつもりかは、わからないけど」
犯罪集団に加担でもさせたいのか。単純にrulerがspouseを得た場合の臨床データが欲しいのか。いずれにしてもWO関連の何者かである可能性は高い。
「僕の噂を知っている人物なら、利用しようと考えるかもしれない。晴翔君は、僕の噂は、知っている?」
晴翔の顔が引き攣った。
「……少しなら、知ってます。理玖さんがo